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ふか&もけ回想 ある脳神経外科医の毎日 9条守りたいね ソープ嬢 かをり ~愛と... メモ帳
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大人のADHD近年みずからADHD(注意欠陥多動性障害)を疑って診療を求めてくる人が多くなったが、治療を引き受ける医療機関は少ない。医療の二一ズに精神科医はまだ十分な対応ができていないためである。 その理由はADHDが児童精神医学領域では周知の障害であるが、我が国の伝統的な精神医学ではこれまで扱ってこなかったという経緯や、従来ADHDが成人になると治癒し、成人のADHDは存在しないとされてきた歴史的経緯も関係している。 さらに治療薬であるメチルフェニデート(リタリン)に対する精神科医のトラウマとも言うべき忌避感情がこの治療を遠ざけている要因にもなっているであろう。 ADHDは発達障害であるので、「発達段階(0歳から18歳)において生じ」「年齢によって症状が変化する」「脳の機能的、器質的障害を基盤とする」障害である。ADHDの発生頻度は極めて高く、3〜9%と言われている(この頻度の幅は診断基準による)。 この障害のもっとも目立つ多動性という症状は思春期を越えると改善してくるところから、これまでこどもの障害と認知されてきたが、1990年以降の広範な予後調査の結果、実はADHDは成人になっても改善せず、症状は持続することが明らかになってきた。 ADHD(attention deficit hyperactivity disorder注意欠陥ではなく注意欠損が正訳であろう)は、注意障害、多動性、衝動性、興奮性が主軸症状である。2次障害としで情緒障害がある。 注意障害とは注意の幅と転導性の障害である。集中困難、気が散りやすい、ひとつのことに熱中しやすい、ミスを犯しやすい、不注意、忘れやすい、見落としやすい、ぼんやりしている、同時に課題を与えられると混乱する、忘れ物が多い、人の話を聞いていない、などである。 満遍なく注意を払い、かつ、注意深く課題を達成することが難しい。ひとつのことに注意が向くと、転導することが困難になり、他の局面をサーチすることが難しくなるのである。教室の外で音がすると、そっちの方に気が取られるのもそのためである。 注意障害は他の症状、たとえば多動性や衝動性と連関する。たとえば、授業中きょろきょろするのは注意障害と多動性が関係している。多動性は男子に多い。これまでADHDの出現頻度が3対1で男児に多いとされているが、その理由は、多動性が男児に多く出現し、興奮性と相侯って問題行動と関与するために診断されやすいことが関与しているためではないかと考えられる。 実際は「片づけられない女たち」で示されるように、これまでの統計と反して性差はそれほど大きくはないことが近年明らかになっている。 多動性は文字通り行動量が多いことで示される。幼児期から動き回り、じっとしていられず、物に触れ、手や足を忙しく動かす。授業中は始終頭を動かし、あるいは教室を走り回る、順番を待てないなど。 成人になっても活動的で、会話中も手指を忙しく動かしたり、貧乏揺すりをしたり、何となく落ちつかない印象を与える。衝動性は考えないで行動に移すことをいう。無計画、行き当たりばったり、後先を考えないで行動するなど。木登りして降りられない、興味のある車が来ると走り出す、計画が立てられない、優先順位がつけられないなどである。 興奮性はカッとなりやすい、キレル、暴力を振るうなどである。これらの4領域の症状は互いに連関しあい、症状を形成するが、4つの基本症状がすべてそろう必要はない。おそらく中心症状は注意障害であり、多動を欠く症例は女性に多い。 2次障害はこうした傾向が性格や自己意識に影響を与えるために生じる。自己評価の低さ、自尊心の低さ、反動形成としての強迫傾向が生じ、衝動の制御が困難であるとか、気分の変わりやすさや失敗経験の多さ、あるいは友人関係も少なく、学業や職業生活の失敗や転職の多さなどが一層適応を困難にする。 行為障害、嗜癖、強迫症、自殺、パーソナリティ障害などに導く. 児童期のADHDの問題は主に学校社会における問題である。落ち着かない、気が散りやすい、宿題を忘れる、忘れ物が多い、自分勝手な行動、叱ってもまた繰り返す、集団行動が取れない、頑固、乱暴をする、などは適応上大きな問題になる。 しかし、成人になると、たとえば集団行動が取れないことはそれほど大きな問題とはならなくて、学生なら本を読み通せないとか、課題に取りかかれないとかが、社会人なら約束を守れない、期限に間に合わない、ポカミスをするなどが、主婦なら片づけられない、捨てられないなどが大きな問題となってくる。 友人関係においても、人の話を聞いていない、約束をすっぽかすなどは大きな障害となるし、仕事で優先順位をつけられないことは致命的な問題を作ることになる。 現在ADHD/ADDを特定する生物学的マーカーは存在せず、臨床経過と症状の特異性から診断することになる(しかし、この方法はうつ病や統合失調症の診断と同じなので、精神科医にとってはなじみの物であろう)。 診断の鍵は本障害が発達障害であり、幼児期から特徴的な症状が出現していることである。思春期以降とか最近出現した時にはうつ病やパーソナリティ障害を疑う。 治療は薬物療法と生活指導が中心となる。医療が提供できるものは限られており、薬物療法をすれば魔法のように問題が解決するような患者の幻想は修正しておかなければならない。 薬物を使うと、課題を達成しやすくするだけである。ADHD/ADDは気分障害、薬物依存、病的賭博、パーソナリティ障害の合併が多いことに留意する必要がある。気分障害がある時にはまずその治療を始める必要がある。 薬物療法はmethylphenidate(リタリン@)が第1選択剤、pemoline(ベタナミン@)が第2選択剤となる。抗うつ剤(SSRI,SNRI,amitriptylineなど)が有効なこともある。 Methylphenidateの有効率は70%といわれ、まず試みる薬物である。ADHD/ADDの患者はリタリン依存症をまず呈さない。その理由の1つはこの薬物が彼らにはむしろsedativeに働くためではないか。薬物依存の既往があるもの、パーソナリティ障害には原則として禁忌である。 Methylphenidateの作用時間はおよそ4時間であるので、活動時間に合わせて服用させる。本剤は治療薬ではなくて、必要な時に使用する「道具」のようなものであると説明し、活動しない時には服用する必要がないことを述べておく。 残業がある時には1日3回服用が必要であるが、大体は朝と昼の2回投与すれば活動時間をカバーできる。初回投与はlOmg錠を朝・昼1/2錠ずつ。問題なければ10mgを2錠朝・昼2回投与に増量する。 患者はこれを自分の特性に合わせて3/4とか微量調整して服用していることが多い。治療初期に心臓の動悸、筋肉痛を訴えることがあるが、ほとんどの場合副作用は問題にならないほど少ない。1日の最大投与量は40mgを超えないようにすべきである。指導は生活上の困難をどのように解決するか具体的に提示することである。 参考文献 1)市橋秀夫:成人におけるADD, ADHD一私の治療手技一、精神科治療学.19(3):547-552, 2004. 診断のためのチェックリスト 1.多動性 ①早食いや、せかせかとタバコを吸う。 ②作業は早いが雑 ③一見会話中落ち着いて話を聞いている様に見える人が、よく観察するとせわしなく指をこすったり、鉛筆をかたかたと鴫らしたり、膝を揺すったりする動作をしている。 ④並んで順番を待つことができない。 ⑤じっと座っていることに苦痛を感じる。 ⑥始終なにかをいじっている。 2.注意障害 ①退屈で細かな作業でストレスを感じるか ②課題や仕事を最後までやり遂げられるが。気が散るか。目新しいことにばがり目がゆくか。 ③会話が逸れる、話を聞いていないとよく言われていないか。 ④期限を守れるか。約束の時間に着けないことが多いか。 ⑤複数の課題や指示をもらったときに、頭が混乱し真っ白になることはないか。どこから手をつけてよいか分からなくなることはないか。 ⑥ミスが異常に多い。 ⑦忘れ物が多い。よく物を置き忘れる。置いた場所が分からなくなる。 ⑧整理整頓ができない。片づけられない。バッグに物をたくさん入れて括ち歩く。 3.衝動性 ①失言、早とちりが異常に多い。言わなくてもよいこと在言ってしまう。 ②待てない。 ③話を途中で中断させて割り込む。 ④計画が立てられない。 4.興奮性 ①些細なことでカッと頭に血が上ってしまう。腹を立てやすい。怒りがこみ上げてくる。キレやすいと言われる。 ②怒った後、けろりとして忘れる。 大人のADHD 市橋クリニック 市橋秀夫 2005年7月 PSYCHO TOPICS 155 監修 東京慈恵会医科大学客員教授 牛島定信
by yokokai2
| 2005-10-26 15:37
| 医学
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